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FF7 『それは反抗期』



 己の誕生に関する衝撃的事実を知ったセフィロスは、神羅屋敷を破壊し、ニブルヘイムの村々をも跡形も無く消そうとした。
 もし彼が、運命の出会いを果たしていなかったのならばニブルヘイムの村はその衝動のまま確かに消えていただろう。だが、彼はすでに出会っていた。

 かこーんっ!

 ちょっと情けない音を立てて、セフィロスの後頭部を直撃したのは桶だった。井戸から水を汲み上げる例のアレだ。直撃した後、地面に落ちてカラコロと転がっていくのも物悲しい。

「この馬鹿っ!馬鹿セフィロス!!

 怒っていたのはチョコボだった。否。チョコボに似た髪形をしたクラウドだった。
「何やってんだよっあんた!」
「・・・クラウドか」
「クラウドか、じゃないっ!あんたが無茶苦茶なのは知ってたけど、やり過ぎだろ!」
 たいした郷愁もなく、恩も義理も無いが、一応クラウドの故郷である。
「俺は・・・知った。やはり、俺は人では無かったらしい」
「今さらだっつーのっ!!」
 クラウドの後ろで消火活動に勤しんでいたザックスがすす塗れになりながら叫んだ。
「ザックスは黙ってて」
「いやだってさ・・・はい」
 ぎろり、とクラウドに睨まれてザックスは口を閉じた。怒ったクラウドは恐ろしい。
「セフィロス」
「・・・近づくな、クラウド。今の俺は何をするかわからん」
「関係無いね。俺は俺の好きなようにする」
 言葉通りお構いなくセフィロスに近づいたクラウドは、マサムネを持った腕を掴んだ。
 セフィロスは戸惑った表情を浮かべたままクラウドにされるがままだ。
「親に腹を立てるってよくあることだ。俺だってよく母さんに偉そうな口叩いてた。セフィロスだって同じだろ」
 同じか?
 ザックスは口を閉じたまま首を傾げた。
「そういうの何て言うか知ってるか?」
「・・・何だ?」
「反抗期って言うんだってさ」


 反  抗  期 ・・・ !?


 ザックスは絶句した。
 幾ら何でもそれは無いだろ・・・。

「人の成長には必要なことなんだって。だからってやりすぎは良く無い」
「そう、か・・・」
「うん。八つ当たりしたくなるのはわかるけど、やっぱりこういうのは元凶にちゃんとぶつからないと」
 いやいや、クラウドさん・・・?
「そうだな。クラウドの言う通りだ」
 いやいやいやいや!!


 こうしてニブルヘイムの平和は守られた。




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『亜州黄龍伝奇』



「ビンセント、今度の休みはいつ?」
「お休みですか?・・・すぐにでも」
 世界一の黄龍馬鹿、ならぬ秋生馬鹿。休みなんて当分先の先であることに思い当たった青龍は今すぐにでも休日にしようと本気で思っていた。
「別にすぐでなくても、今度の土曜日は?」
「大丈夫ですよ」
 たとえ廖が大丈夫で無いと肩をがっくり落とそうともスイッチオンした青龍を止めることは出来ない。
「良かった。じゃぁ買い物に付き合ってくれるかな?」
「お買い物ですか。もちろんです」
 日頃、何かが欲しいと強請ることなどほとんど無い秋生の頼み。(何しろ言う前に何もかもをビンセントが揃えてしまう)家だろうが土地だろうが、何でもこい。どんと来い。
「良かった。それじゃ土曜日の10時に」
「畏まりました」
 仰せのままに、と青龍は頷いた。





 約束の日。
 秋生がビンセントのところに行こうとエレベーターを降りたところで、ビンセントが立っていた。
「お迎えにあがりました」
「あ、ありがと」
 ちょっと寝坊した秋生は誤魔化すように頬をかいた。
「それで本日はどちらに?」
「えーと・・・中環に。頼んでたのが出来たって連絡があったから」
「何か注文されていたのですか?」
「うん」
 秋生は頷き、ビンセントにエスコートされるまま車に乗った。この扱いにも慣れて違和感を感じなくなってきている。
「何を頼まれたのですか?」
「んー・・着いてからのお楽しみかな」
 知りたいのは山々だったが、秋生が楽しそうなのでビンセントは我慢した。
「あ、あそこの店」
 秋生が指差したのは、普段秋生が近づきそうにないブランドショップだった。
 それほど秋生の興味を引いた何かがあったのか。そのブランドが気に入ったというのならば、これから購入する品々はそのブランドで揃えてもいい…脳裏でビンセントは色々と算段する。
 店専用の駐車場に車を停め、秋生とビンセントは連れ立って店内に入る。
 きょろきょろと店内を見渡した秋生は、一人の店員と目を合わせた。店員も秋生と顔見知りだったのか、笑顔を浮かべて近づいてきた。
「お待ちしておりました、ミスター工藤」
「連絡いただいたので・・・」
「はい。ご用意できております。こちらにどうぞ」
 心得たように店員は秋生とビンセントを奥の部屋へと案内する。
 椅子を促され、腰をかける。慣れない秋生は居心地悪そうだが、こういう対応に慣れているビンセントはさすが堂に入っている。どちらが連れなのかわからない。
「お待たせ致しました。こちらでお間違え無いですか?」
 過剰包装ぎみな箱から開けて見えたものは、眼鏡だった。秋生の視力は矯正は必要なかったはずだが…もしや何か変調がとビンセントは俄かに心配になってくる。
「間違いないです。良かった・・・うん。イメージ通り」
 秋生は眼鏡を取り上げると、ビンセントに向かってかざしてみせた。
「どう?」
「・・・お似合いかと」
 秋生には少し固すぎる気もするが、イメージチェンジと言うのならば問題ないだろう。
「嫌だな、ビンセント。僕じゃないよ」
 秋生ではない。では何だというのだ。
「ビンセントに。日頃の感謝をこめてね。お世話になってるから」
 衝撃的事実に、ビンセントは息を呑み、目を瞠った。

「クリスマスプレゼント」



 しばらくビンセントは上機嫌で過ごし、気味悪がられたとか。
 


『陽子麒麟 慶国浩瀚編』


「主上・・・」

 いつになく暗い声に書類に目を通していた浩瀚は視線を上げた。
 そこには、やはり声同様暗い表情の景麟が立っていた。
 どうしたと言うのだろうか。今の時間であれば日課の禁軍での鍛錬をしているはずだが。

「主上・・・私は麒麟として失格です」
 失格ではないが、破格ではあるだろう。
「どうしました?」
 慌てることなく浩瀚は尋ねた。
「主上はこうして、山のように仕事をこなされていると言うのに…私は…全く主上のお役に立てていない。己の不甲斐なさに死んでお詫びを!!」
 麒麟が死んだら王も死ぬ。
「落ち着きなさい。私は陽子が不甲斐ないなどとは少しも思ったことはありませんよ」
「主上・・・」
 仕事は確かに山のようにあるが、この思い込んだら一直線な麒麟はどうにかしておかなければそれこそ大変な事態になる。国の存亡の危機だ。
「人には人の分というものがあります。私には私の、陽子には陽子の。私と同じ仕事を陽子がする必要は無いのです」
 陽子がぎゅっと眉間に皺を寄せる。
「私は私が出きる精一杯のことをしていますし、陽子は陽子のできることをしている。そうではありませんか?」
「・・・はい」
「陽子は何の為に強くなりたいと思ったのですか?」
「私は・・・私が選んだ王を、主上をお守りするためです」
「では、陽子は立派にその責を果たしているのではありませんか?こうして私は貴方に守られて穏やかに執務をこなしているのですから」
「主上・・・っ」
「だから、死ぬなどという悲しいことは言わないで下さい」
「すみませんっ主上!私が愚かでした!!・・・そうですね、主上をお守りすることこそ私の仕事!これからもより一層鍛錬に励みます!」
 握り拳を突き上げ、陽子は宣言した。

 
 『最強の麒麟』の名を欲しいままにするのも近いだろう。


これから、己の限界に挑戦してみようかと思います。
12時を迎えるまでに、書ける限りで小説UP!
よーいドン!!

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
『陽子麒麟、巧国編』



「おーいっ陽子!」
 
 翠篁宮。そこは雲海の上。いと高き身の方々が住まわれる場所。
 外から訪う者たちは禁門を厳かに通りぬけ、仰々しく出迎えられるのが筋。
 しかし、この巧国の麒麟の名を呼んで宮殿の上から騶虞に乗って下りてくるのは・・・

「六太君!!」
 金髪を持ち、この世で第二に長命である雁国の麒麟だった。
 年齢から言えば兄妹、であるが見た目は姉弟である二人はとても仲が良かった。
「元気だったかっ?」
 騶虞から飛び降りた延麒はそのまま、再会の抱擁のために飛びついた。
「元気だよ。六太君は?」
「もちろん!扱き使われてへとへとだったけど陽子の顔見たら元気になった!」
「そう言ってもらえると嬉しい」
 ちなみに庭院である。護衛を勤める禁軍の兵士たちが必死で見て見ぬふりで空を見上げていた。
 今日も真っ青で、目に沁みる。
「今日は陽子にすっげぇいいもの持ってきたんだ」
「え、何?」
 延麒の目が悪戯っぽくきらりと光、陽子は首を傾げた。
「じゃーんっ!!」
 延麒が取り出したのは、一本の棒だった。黒光りして金の装飾を施されたそれは、陽子の身長の二倍の長さはある。物干し竿だろうか、と陽子はその棒に通された布が風に翻る様子を思い描いた。
「これはな棍っていう武器なんだ」
「武器?」
「楽俊に剣を禁止されたって言ってただろ?」
「ああ」
「これなら刃もついてないし、剣より長いし安全だ」
 楽俊はけっして、刃物がついているからと剣を禁止したわけでは無い。陽子に傷ついてもらいたくないからこそ『武器』を禁止したのだ。
「それは凄い!」
 しかしそのあたりを延麒も陽子も全く理解していなかった。
「扱い慣れるまで大変そうだけど…これなら剣よりも遠くの相手を倒すことができそうだ!」
「だろ!」
 二人の麒麟の会話に、禁軍の兵士たちは目頭を押さえた。
「ありがとう!六太君!使いこなせるように精進するよ!」
「ああ!陽子なら大丈夫だって!」
 そんな太鼓判を押される麒麟で良いのだろうか。

 その頃、何も知らない楽俊は堂室で一生懸命御璽を押していた。




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投票トップな楽俊におめでとう!
・・・何か同情票な気がしないでもない(笑)


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